リーズナブルな価格のワンルームマンション。初期投資が小さいので、サラリーマンでも低コストで始められるのが魅力ですが、物件は十分に吟味しないと大きな損害を被ることになります。
実際、ローン返済ができなくなり、競売にかけられているワンルーム投資用マンションは非常に多くなっています。
今現在、各地で競売にかけられているマンションは以下のサイトで確認できます。そのような物件がどれくらいあるか、ぜひ一度確認してみてください。
https://keibai-mansion.com/
ご存知のとおり、競売にかけられたということは、ローンを返せず差し押さえられたということです。上記サイトを確認してもらえばわかりますが、競売にかけられているほとんどがマンションの一室です。全体の40%超が単身者用のマンションとなってることも多く、言い方は失礼かもしれませんが、区分マンション投資先輩たちの失敗を垣間見えます。
ではなぜ、多くの先輩たちは失敗してしまったのでしょう。今回はその理由についてと、買うなら必ず東京23区内の物件にすべき理由について考察していきます。
利回りの計算方法と本質的な意味
投資では利回りが大きいと良いとされています。それは不動産投資でも同じです。では、不動産投資における利回りの算出方法について考えてみましょう。利回りは以下の式で算出できます。
年間利益 ÷ 購入価格 = 利回り(%)
利回りとは元本、購入価格に対し、年間での利益率の割合(%)を表したものです。この式から、利回りの大きい物件を選ぶためには、購入価格の小さい物件を購入すれば良いということがわかります。
ものすごく簡単ですね。しかし、当然ですが投資はそんなに単純ではありません。
利回りが良い、つまり価格が安いということは、安く売られるだけの理由があるということです。
地方都市には、高利回りのワンルームマンションなどが多数存在します。ただ、利回りの高さはリスクの高さと比例します。なぜなら、その物件のリスクが高いから安い値段で売りに出すわけで、値段が安ければ、当然、利回りが良くなるわけです。逆に、優良物件であれば、高く売り出すので、利回りが悪くなります。
高利回りになればなるほど、リスクが高くなり、行き過ぎると、そのマンションは何かあると疑った方が良いでしょう。「リターンとリスクはセットとなる」、投資の基本的な考え方ですが、失敗例の多くは、高リターンに目を奪われ、リスクを見誤ってしまった点にあると言えます。特に区分マンション投資などの不動産投資は長期のローンを組むことになります。時が経てば経つほど、リスクは拡大していきます。最初のうちは問題なく運用できていたのに、10年過ぎたあたりからうまくいかなくなっていくのは、必然なことです。
東京以外でも、大阪、名古屋、福岡、横浜といった大都市圏近郊で、近くに学校や工場、大型ショッピングモールといった一定の規模を持った施設があるとすれば、その物件は安全とも言えますが、それでも、初めて投資するなら東京23区内が断然良いです。それ以外は不動産投資に慣れた段階で投資するべきです。
では、何故そこまで東京23区内が良いのでしょうか。
増え続ける東京での単身者数
日本は今、超少子高齢化人口減少社会です。特に若年層と高齢層の人口比率の差から、労働人口の減少が深刻な問題となっています。2015年から日本の人口は減少を始めました。年間30万人減っており、労働人口においては100万人が減っています。ただその一方で、東京都心部では人口が増え続けており、特に単身世帯が増加の一途をたどっています。
東京都の調査では、単身世帯は右肩上がりで増えており、2035年には50%以上が区部の単身世帯となるということです。2021年現在、最も多いのが「夫婦と子供」世帯ですが、近いうちに単身世帯が逆転し、1位になると予想されています。
加えて、国立社会保障・人口問題研究所の統計では、2035年には男性約3割、女性約2割が生涯未婚という結果も出ています。2040年には独身が人口の半分になるというデータもあり、近い将来、結婚しているほうがマイノリティ(少数派)になりそうです。
平成27年の国勢調査によると、東京23区内の単身世帯は242万人、対してワンルームマンションの戸数は首都圏で30万室程度であり、戸数が足りていない状況です。これは言い換えると入居者需要が非常に豊富と言え、必然的に空室になりづらいということが見えてきます。
これから先、日本の人口は東京などの大都市に一極集中し、逆に地方は過疎化が進む恐れがあります。これはつまり、地方の不動産など投資先は慎重に検討することが求められるということです。
都心ワンルームは利回りが低いです。年利4%~5%程度あれば良い方です。これは入居需要の安定性が起因し、それだけ安全で将来的な家賃収入が見込めるので、物件の売値が高くなっているということです。低リスクで、堅実に収入を得ることが目的であれば都心部のワンルームマンション投資が最適と言えるわけです。
物件を間違えなければ得られるメリットは絶大
区分マンション投資では、毎月の支払いは家賃収入でまかなうことによって、ほとんど手出しの支出なく運用できます。購入物件を間違えなければ、ローン期間中も自身の手出しなく毎月多少の利益(家賃収入がローン支払いを上回ることで得られる利益)をとりながら物件を運用することも可能です。
家賃収入が途切れずに入り続ければ毎月のローン返済は受け取り家賃で相殺でき、時間の経過とともに、自然とローンが減っていきます。
そして、ローン返済後は、家賃収入を丸々受け取ることができます。このゴールまでたどり着くことができれば、区分マンション投資は大成功です。
売ろうにも売れない地方物件
ローン完済までの長い道のりを無事に超えられれば良いのですが、現実はなかなかそうはいかず、途中で売却するケースは珍しくありません。売却相場価格がローンの残積を大きく下回っており、多額の現金を使わないと売却できない場合は損失となります。数百万円の損失ならまだ良い方で、もっと大きな損失となってしまうことも十分に考えられます。
毎月のキャッシュフローが赤字の物件を購入してしまい、当初は毎月1回程度の支払いであれば問題もなかったが、修繕積立金の上昇や家賃の下落により、赤字が拡大。買い手が見つかればまだ良いですが、買い手も見つからず、売ろうにも売れず、毎月多額の赤字を捻出しながら、仕方なく物件を保有し続けなければならないオーナーもたくさんいます。
大型ショッピングモールも簡単につぶれる時代です。近所に大学があったとしても、その場所に一生存在し続ける保証はないですし、最近では、「都心回帰」の流れもあり、いくつもの大学が都心部へキャンパスを移転しています。
そういった大型施設がなくなった地方の賃貸物件は悲惨です。特定の施設に頼った賃貸経営は非常に危険と言えるので注意しましょう。
まとめ
繰り返しになりますが、利回りの高さはリスクの高さに比例します。入居者が見つからず、賃料を下げれば、利回りも下がります。高い利回りに惑わされ、物件を購入してはいけません。「利回り」は投資の指標のひとつにすぎないということです。
地方物件は長期で持つには危険すぎます。これからも人口増加が見込める東京23区内、中でも今後も需要が伸びていくと考えられるワンルーム(1R、1K)マンションを選ぶのが安全と言えるでしょう。但し、だからといって東京23区内なら必ず安心というわけではありません。物件の立地や設備などを確認し、今の家賃のままでも長期で貸し出しだせる物件を選ばないといけません。営業マンは良いことしか強調しませんが、サラリーマンでも簡単に始められると謳っている区分マンション投資は本当に難しいのです。