以前の記事でも取り上げた「かぼちゃの馬車」事件や、レオパレス21の問題など、昨今、サブリースにおけるリスクが表面化し、大きな社会問題となりました。
管理会社がオーナーに毎月定額の家賃を支払う保証契約にも関わらず、一方的にその保証賃料を減額したり、そもそも入金すらしない、一方的に解約する、といったケースが多発しています。
今回は、サブリース契約を結んだ方が良いのか、しない方が良いのかについて考察していきます。
サブリースとは
そもそもサブリースとは何でしょう。サブリースはサブリース会社が部屋の入居者となり、その部屋を借り上げる契約のことです。サブリース会社が借り上げた部屋は、一般の入居者に貸しに出され、実際にその部屋に住むのは、一般の入居者になります。
要するにオーナーと一般入居者の間にサブリース会社が間に入るわけですね。
我々オーナーからするサブリース契約のメリットは、入居者が退去し、その部屋に誰も住んでいない期間があっても、その間の家賃収入は保証されるという点です。区分マンション投資の最大のリスクは「空室」リスクなので、そのリスクがなくなる点は非常に魅力的です。
サブリースの問題点
空室リスクがなくなるサブリース、それなら契約を結んだ方が安全で良いのではないかと考えてしまいますが、実はこのサブリース、契約自体に大きなリスクが潜んでいます。
それは、「サブリースの保証賃料は業者の都合でいつでも引き下げられる」という点です。
区分マンション購入時は、サブリース契約し、手数料を差し引いたとしても、それなりの家賃収入となります。この賃料保証をずっと続けてくれるなら、契約した方が良いと言えるでしょう。しかし、そんなに都合はよくなく、例え契約書に「保証賃料は毎月○万円」と記載されていたとしても、業者都合でいつでも金額を引き下げることができてしまうのです。これは、入居者が「借地借家法」によって手厚く守られていることが要因です。入居者は賃貸オーナーよりも法律でその立場が強く保護されます。前述のとおり、サブリースはサブリース会社が部屋の入居者となるため、この法律により、オーナーよりもサブリース会社が強く保護されてしまうというわけです。
また、保証賃料が下げられてしまい、毎月の収支が赤字になったため、その物件を売却しようとした場合、まずサブリースを解約しないといけないのですが、その際に多額の違約金を請求されたり、そもそも解約に応じてもらえないこともあります。
かぼちゃの馬車のように、サブリース会社が潰れてしまうことも十分にありえます。(かぼちゃの馬車事件についてはこちらの記事で詳しくまとめています。)
サブリース=家賃保証というイメージがあり、そのイメージどおりであれば非常に安心に思えますが、実態はそうではなく、サブリース契約を結んでしまうことで、オーナー側が圧倒的に不利な立場に立たされてしまいます。
サブリース契約してしまったら、賃料の決定権はサブリース会社にあると考えた方が良いです。オーナーは当然、賃料を下げたくないわけですが、サブリース会社は賃料が安い方が空室率も下がるため、賃料を下げたいと考えます。この隔たりは年数が経てば経つほど大きくなっていきます。
高額なサブリース手数料
繰り返しになりますが、サブリース契約は賃貸人(実際に住んでいる人)がいてもいなくても必ず毎月の家賃が支払われるという家賃保証制度です。営業マンはまず空室リスクについて説明し、ターゲットを一度不安にさせた後で、その解決策としてサブリース契約を勧めてきます。家賃が保証されるなら安心だと、それを決め手に、物件を購入する方も多いです。
物件の立地や設備に問題なくても、25ヶ月に1ヶ月は空室になるというデータもあります。賃貸の更新は2年単位であり、更新する場合は更新料を払わないといけないので、このくらいの間隔で引越しした経験がある方も多いのではないでしょうか。
では、サブリースの手数料はどれくらいになるのかというと、賃料の10%前後が相場です。25ヶ月に1ヶ月の間隔で空室になるとした場合、損してしまいます。
途中解約の難しさ
サブリース会社が提示してきた月額賃料が安すぎて、毎月赤字になってしまう。そうなった場合の対抗策として、サブリース会社に賃料の値上げを要求することが挙げられますが、その要求はまず通りません。賃料が安すぎる根拠を自分で集めて、不当であると主張する必要がありますが、それらを苦労して行っても話し合いがまとまらなければ、訴訟を起こして争うしかありません。ただ、そのためには弁護士費用等、様々な費用が発生し、赤字は膨らむばかりで、現実的ではありません。
こうなれば、サブリース契約を解約するしかありません。
しかし、この解約がまた難しいです。まず、サブリース契約の契約期間を確認するわけですが、この期間が非常に長くなっているケースが多くなっています。以前は、2年から4年間程度が普通でした。このくらいの期間なら、収支の割が合わなければ、期間満了まで待って、解約すれば良いのですが、最近は契約期間が10年、それどころかローン期間と同じ35年となっている場合もあります。
契約は自動更新となっている場合がほとんどで、契約を解除したい場合、「契約期間満了日の6ヶ月前までに更新をしない旨の書面による意思表示が必要」といった感じで、解除の敷居が高くなっていることが多いです。6ヶ月前というのは、忙しい人にとって、忘れがちになりやすいですから。それに電話やメール一本で更新しないというわけにもいかず、面倒な手続きを行わないといけない場合が多いです。
さらに酷いケースは、ローン期間と同じ契約期間だった場合です。その場合、途中解約扱いになり、違約金を払わなければいけません。この違約金の金額も増えており、以前は保証賃料の3ヶ月分程度が相場でしたが、最近では、6ヶ月程度の違約金を取るサブリース会社も増えています。年々、オーナーにとって不利に、サブリース会社にとって有利な契約内容になってきているということです。
まとめ
「空室になっても家賃収入は保障される」と、聞こえは良いですが、毎月の手数料も高額で、収支を常に圧迫し続けます。サブリース契約はデメリットの方が大きい、むしろデメリットしかないと言っても過言ではないと思います。
サブリースに頼らなくても、空室となる心配がない、そんな立地の物件を探さないといけません。そうでない物件であれば、そもそも購入してはいけません。