マンション投資前に知っておくべき住宅ローンの種類とは?

一口に住宅ローンと言ってもその種類は様々です。マイホーム購入の場合、住宅ローンの検討は十分にされるかと思いますが、マンション投資の場合、この辺りのことを担当者にまかせてしまい、言われるがままにローンを組んでしまうことが多いようです。実際、わたしもそうでした。

ただ、それは非常に危険です。ローンの特性を理解した上で組まないと、数年後、数十年後に後悔することになりかねません。今回は住宅ローンにはどのような種類があるのかについて見ていきます。

住宅ローンの種類

マンションを購入する場合、住宅ローンを利用することになりますが、ローンを組むに当たり、その融資は二つの種類に大別できます。

  • 居住用のローン
  • 投資用のローン

「居住用のローン」は要するに自宅を購入する際のローンです。一般的には住宅ローンと言えば、こちらを思い浮かべる方が多いでしょう。それに対し、「投資用のローン」とは賃貸経営やマンション投資をする際に借りるローンのことです。

この2つのローンですが、同じローンでもとても大きな違いがあります。それは、

  • 居住用ローンは金利が非常に安い、対して、投資用ローンは金利が高い
  • 居住用ローンは審査が通りやすい、対して、投資用ローンは審査が厳しい

居住用のローンはあくまで債務者がその家に住むわけですから、貸倒れリスクが低いと判断され、銀行もお金を貸してくれるわけです。

投資を目的とするなら、金利が高く、審査が厳しい、投資用ローンを使わなければなりません。過去に本当は投資目的なのに居住用に購入すると偽って居住用ローンを組むといった不正が多くありました。今はその点も厳しくチェックされるようになったため、そんな不正はできません。

固定型と変動型の違いと特徴

住宅ローンの金利タイプには「固定型」と「変動型」があります。

固定型

固定型ローン(固定金利)は、あらかじめ決められた期間の金利が一定となるタイプです。全期間一定となる「全期間固定型」と、ある一定期間で見直しが入る「固定期間選択型」があります。後者の固定期間選択型であれば、契約時に3年、5年、10年などといった固定金利期間を選ぶことになります。
金利は社会情勢や国の政策などの要因によって変動します。固定型の場合、世の中の金利がどれだけ上昇しようとも、固定金利期間中は、返済額は変わることなく一定となります。

固定型のメリット
・金利が固定されているため、返済額が変わらず、収支計画が立てやすい

固定型のデメリット
・変動金利よりも金利が高い
・低金利が続けば、変動金利よりも返済額は多くなる

変動型

変動型ローン(変動金利)は、返済途中に定期的に金利が見直されるタイプです。一般的に、金利タイプの中で、金利が最も低く設定されます。通常、金利は半年毎に見直されます。金利が下がれば返済額は減り、金利が上がれば返済額は増えます。

そのため、金利が下がる分は良いのですが、上がってしまうと、毎月の返済額が上昇してしまい、上がり具合によっては日々の生活に大きく影響してしまいます。特に急激に上昇したら、準備する余裕すらなく、直ちに困ってしまいます。
そうならないよう、一般的には返済額の変更は5年毎に行われます。最長5年後に、それまでの「つけ」分を払う(繰り越される)ことになりますが、それだけの期間があれば、返済額アップに対する準備をする猶予ができるということです。

変動型のメリット
・固定金利よりも金利が低い
・金利が上昇しなければ、ずっと低金利を享受できる

変動型のデメリット
・将来金利上昇により、返済額が上昇し、返済が苦しくなる不安がある

今はこの変動型ローンを選ばれることが多いです。将来の金利上昇リスクも速いうちに繰り上げ返済できれば、そのリスクを抑えることができます。そして何より、長年続く、日本の超低金利を利用しない手はありません。

投資目的であればなおさらで、まず例外なくこの変動型を選ぶことになるでしょう。上述のとおり固定より金利は安く、基本的に繰り上げ返済しても違約金は課されません(長期間の固定型で組んだ場合、相応の違約金が課せられてしまいます)。投資の場合、「売却」という出口戦略も重要になるので、違約金という縛りがあると柔軟に売買できなくなってしまいます。

居住用のローンであれば、今後5年後、10年後に子供の高校、大学進学が控えているなど、大きな支出が見込まれている場合は、リスクを減らし、収支計画を立てやすくするために固定期間選択型を選ぶというのも賢い選択かと思います。
低金利の恩恵は、変動型のみでなく、固定型も当然、受けられます。実際、居住用であれば、固定型ローンであっても今はとても低くなっています。さらにハウスメーカーは銀行と提携しており、店頭表示金利よりも低い金利で借りられるので、選択肢は多いです。

投資用ローンは居住用ローンより、手厚くはなっていません。近い将来大きな支出が見込まれているのなら、そもそも不動産投資に手を出してはいけません。

元利均等と元金均等の違いと特徴

居住用、投資用どちらも、ローンを申し込む際、返済方法を選ぶことになります。その種類として「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。

元利均等返済

元利均等返済は、毎月の返済額が一定となる返済方法です。返済額(元金+利息)が一定のため、返済計画が立てやすくなりますが、元金均等返済よりも総返済額が多くなります。

元利均等のメリット
・返済額が一定のため、返済計画を立てやすい
・毎月の返済額が少ない
・ほとんどの金融機関で扱っている

元利均等のデメリット
・元金の減りが遅くなり返済金額が多くなる。

元金均等返済

元金均等返済は、毎月の返済額のうち、元金の額が一定となる返済方法です。返済額(元金+利息)は返済が進むにつれて少なくなっていきますが、返済当初の返済額が最も高くなり、負担が重たいです。ただし、元利均等返済に比べて、元金の減少が速くなり、総返済額は少なくなります。

元金均等のメリット
・元金部分の減りが早く総返済額が少なくなる
・将来の負担が少なくなっていく

元金均等のデメリット
・毎月の返済額が変動する
・当初の返済額が多い
・扱っていない金融機関がある

現在の超低金利であれば、元利均等法であっても、利息分の支払いは少ないです。もちろん、今後、金利は上がってい可能性は十分にあり、むしろ上がっていくと考えた方が良いです。ただ、それでも、元利均等は毎月の返済額が少ないので、その浮いた分を繰り上げ返済にあてていくと、メリットを最大限に生かせるでしょう。

まとめ

NHKが行った世論調査によるとコロナの感染拡大の影響で収入が減ったと応えた世帯は全体の約24%にものぼるとのことです。その影響で、住宅ローンで困窮している人がコロナで急増しているというニュースも多くなっています。

この状況を受けて、住宅金融支援機構は返済特例を設けました。収入減少割合が20%以上となった場合など、条件に該当すれば、返済期間の延長や一定期間、返済額を軽減するなど処置を取れるので負担は多少軽くなります。
ただし、それは一時しのぎに過ぎず、その特例を受けても返せないのであれば、家の売却を考えないといけません。実際、ローンを払えず、家を失った人も多いようです。そして、無一文になり、新たな家を借りることもできず、文字通り、路頭に迷う人もいるようです。

上記は、居住用の住宅ローンの話ですが、家賃収入を見込める区分マンション投資においても人ごとではありません。コロナ禍になって、賃貸を止めて、実家に住むという人も増えたと聞きます。

コロナ感染拡大により、緊急事態宣言が出されるという事態になるなんて、誰も予想できませんでした。しかしこのようなイレギュラーな事態はいつ起きるかわかりません。住宅ローンは毎月の返済額が大きいので、貯蓄がなければ、収入が途絶えたり、減った途端にすぐに破綻してしまいます。今はコロナによる影響だから仕方ないという見方もありますが、減収になる要因は他にも色々(転職、出産、病気、事故などなど)あります。1年程の減収で家を売却しないと収まらないというのは、当初の見込みが甘すぎたと言われても反論できません。

ローン破綻で人生が終わってしまうケースも珍しくないので、ローンを組む前には、どのような種類のローンがあり、どのようなリスクがあるのかを踏まえた上で、慎重に検討しなければなりません。人生において、リスクはコロナだけじゃないことを再考すべきだと感じます。