マンション購入の際に加入する団体信用生命保険の落とし穴

居住用、投資用に限らず、住宅ローンを組んでマンションを購入すると、団体信用生命保険(団信)に加入することになります。とても大事な保険ですが、そこには思わぬ落とし穴があります。今回の記事では、その、団信に潜むリスクについて考えていきます。

団体信用生命保険とは

団体信用生命保険(団信)とは、ローンの契約者が死亡や高度障害などになったときに、残ったローンを保険金で支払ってくれる保険です。住宅ローンの返済に特化した保険と考えればわかりやすいです。

多額のローン(借金)の支払いを遺された家族に託すのはあまりにも無責任です。団信に加入すれば、万が一の際も、遺された家族にはローンの支払いが終わった状態の住宅が残されるので、備えとして必ず必要な保険と言えます。そのため、住宅ローン契約時に加入が義務付けられている場合が多いです。

団体信用生命保険の保険料は

団体信用生命保険では、ある時点で支払う保険料はその時点での住宅ローンの残金に比例しています。そのため、返済していくにつれて保険料は下がっていきます。

保険料はローンの種類によって異なりますが、おおよそ同じ死亡保障の生命保険より割安になることが多いです。また、年齢によって保険料が変わることもありません。そのことから、高齢者ほど有利な保険と言えますね。

おおよその料金は以下のサイトから算出できるため、確認してみてください。

機構団信特約料シミュレーション
https://www.simulation.jhf.go.jp/simulation_danshin/index.php

20代から住宅を購入した場合、まだ若いうちは多くのローンが残っているので、団信の保険価値はかなり高いと言えます。そのため、その分の生命保険や医療保険を見直すこともできます。

団体信用生命保険の落とし穴

もし自分に万が一のことがあっても団信により残りのローンがチャラになり、住宅はそのまま残された家族のものとなります。投資用のマンションであれば、家賃収入は継続して支払われます。これで保険はバッチリだ!と、思うかもしれませんが、ここには大きな落とし穴があります。

ケガや失業などの場合には団信は保険対象外となり、保険金が支払われることはありません。あくまで、ローンの契約者が死亡や高度障害などになったときにのみ適用される保険です(ケガについては特約を付ければ対象になりますが条件は厳しいです)。

投資用マンションローンの審査をパスできるような方であれば、働き口なんて何とかなると考えてる方もいるかもしれませんが、それは過信かもしれません。

保険対象外となるケースで最も怖いのは長期入院したときです。1週間程度の入院と手術であれば、健康保険もあるため、仕事も家計にもさして問題ないでしょう。しかし、入院が1年、2年、あるいはそれ以上続いたらどうでしょう。

入院している間も、ローンの支払いは続きます。しかし、考えてみてください。

  • 1年も2年も会社を休むことはできるでしょうか?
  • 入院しているあなたを支えながら、子育て、家事もこなさないといけない奥さんはどれくらい働けるでしょうか?
  • 入院費や病院までの交通費は?
  • 生活費や教育費は?

これらに加えて、ローンも支払わないといけないわけです。

医療保険に入っているから大丈夫?

自分にもしものときがあったとき、そんな万が一の際に助けてくれるのが保険です。医療保険(入院保険とも言いますね)に入っているか大丈夫と思われるかもしれませんが、居住用、投資用に限らず住宅ローンを組む際は、その前にもう一度、加入している保険内容を確認することをオススメします。特に家族がいる場合はぜひ実施してください。

大抵の場合は、死亡時に何千万か出て、入院一日当たり1万円、ガン特約やその他いくつかの特約をつけていると思います。

まず確認しないといけない点は、ガン以外のときの病気で入院したケースです。ガン(もしくは三大疾病)の場合は、手厚い保険になっているかもしれませんが、それ以外の病気の際は、大した保険金がでない場合があります。

仮に、入院一日当たり1万円支給するとうたっている保険だった場合、2年間入院したケースで、どれくらいの保険金が出るでしょう。

単純に計算すれば、1万円×2年(730日)=730万円となります。

が、本当にそうでしょうか。一日当たり1万円と大きく書かれた隅に小さく「1回の入院では60日まで」などと書かれていませんか。

その場合、計算がまるきり変わり、1万円×60日=60万円となります。

この辺、保険屋は良いところだけ強調して説明してくれますが、1回の入院で連続していくらでるかなど、本当に大事なことは説明してくれません。

医学が進歩した現在、入院日数が減ることも確かにあります。ただ、逆に今までであったら「死亡」していたケガや病気であっても、治療により生き続けることができるようになったという側面も忘れてはいけません。この場合、入院はとても長引くと考えられるでしょう。俗に言う「生かされるリスク」というものです。

家族と幸せに暮らすことを望んで組んだ住宅ローンが、逆に家族を苦しめることになることもあるということです。