私たちは仕事でもプライベートでも、さまざま場面で毎日のように文書を作成することになります。
家族や恋人とのしょうもない(思いやりのある)やり取りから、仕事に関わる大事なやり取りまで、その内容もさまざまです。
そしてそれら文書の中には、その記載内容に法的効力を持たせたい重要なものもあるでしょう。
私たち不動産投資家においては、不動産の売買契約書などが該当します。
この売買契約書に記載されている内容が、後から「間違いでした」と言われても非常に困ります。そして、それが「間違いでした」でまかり通ってしまっては、契約を取り交わす意味がまったくもってなくなってしまいます。
そうした特定の文書に対して「印紙」を貼ることで、その文書が法律的に有効とすることができ、その際に「印紙税」というものが発生します。
本記事では、不動産投資を行っていく上でとても重要であり、その意味を理解しておく必要がある「印紙税」について考えていきます。
法的効力を持つ文書とは
法的効力を持つ文書とは、法律上の義務や権利を生じさせる正式な文書のことを指します。このような文書は、関係する当事者に対して法的な拘束力があり、その内容に従うことが求められます。
例えば、以下のような文書が「法的効力を持つ文書」にあたります。
- 売買契約書
- 金銭借用証書
- 土地賃貸借契約書
- 業務委託契約書
- 領収書
上記は一例に過ぎませんが、どれも書かれている内容に対して、後から訂正されたら困るものばかりです。
これら契約書などには「印紙」を貼付しなければなりません。そして、印紙を貼付しなければいけない契約書を「課税文書」と言います。
最後の領収書は他と少し毛色が違いますが、記載金額が5万円超えのものでかつ紙で発行した領収書は課税文書に該当するため収入印紙を購入し(印紙税を支払い)、貼付する必要があります。
課税文書は次にあげる3つすべての条件を満たした文書のことを指します。
- 「印紙税額一覧表」に記載されている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されている文書であること。
- 当事者の間において、課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
- 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により、印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
つまり、上記例で挙げた契約書や領収書のことを指しています。
印紙税はいくら?
印紙税の金額は、文書の種類や取引金額によって異なります。
不動産に関する契約書であれば、取引金額によって以下のように金額が変わります。
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 |
50万円を超え100万円以下 | 1千円 |
100万円を超え500万円以下 | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
国税庁のウェブサイトには、より詳細な税額表が掲載されていますので、具体的な取引に関する税額を確認するために参照するようにしましょう。
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
印紙税は必ず払わなければいけないの?
私たちの間には絶対的な信頼関係があるから、「印紙なんて必要ない、だから印紙税なんて払う必要ない」と、言うわけにはいきません。
課税文書に該当するかどうかの判断として、国税庁は以下のように説明しています。
文書上に表されていない作成者の真の意図をいうのではなく、文書の記載文言等から判断される客観性を備えたものをいいます。
出典:国税庁 課税文書に該当するかどうかの判断
つまり、課税文書に該当するのでれば、単に整理目的で作成したものであっても、印紙税を払わなければならないというわけです。
印紙税を払わなかったときのペナルティは?
では、印紙税を払わなかったときのペナルティはあるのでしょうか?
それを考える前に、契約書に印紙を貼付しなかった場合、その契約書に法的効力があるのかどうかを考えます。結論を言ってしまうと法的効力はあります。つまり、印紙が貼られていない契約書でも、効力自体が否定されるわけではありません。
だったら印紙税なんて払わなくてもいいじゃないかと思うわけですが、そうではなく、もし課税文書に印紙が貼られていないことが発覚したら、ペナルティを課せられます。
印紙を貼付しなかった場合、「過怠税」として、貼付すべきだった印紙税の額と、貼付すべきだった印紙税の額×2倍の額が課されることになります。(つまり、3倍と考えればわかりやすいです。)
印紙税は記載された契約金額によって決まりますが、ワンルームマンションの一室単位の売買であれば多くのケースで「2万円」となります。
もし、2万円の印紙税を払っていなかったら、その3倍の6万円が罰金として課されることになります。
さらには、違反の度合いによっては「懲罰系」や「罰金税」が課されることもあります。(印紙税法第21条~第24条)
かなり重たいペナルティとなるため、当然ですが、印紙税は必ず払いましょう。
まとめ
ワンルームマンション投資をはじめると印紙税というのは侮れない金額となってきます。
不動産登記簿の登録にかかるものであったり、不動産の売買にかかるもの、各種諸経費に関する領収書にも印紙代(つまり、印紙税の支払い)が必要となります。
そのため、なぜ印紙が必要なのか、印紙税を支払う必要があるのかを把握しておくことも必要です。