繰り上げ返済に手数料がかかる理由

ローンの繰り上げ返済をするには手数料が必要です。また、短期間でローンを完済すると別途手数料がかかる銀行もあります。
ではなぜ、繰り上げ返済するのに手数料が発生するのでしょうか。銀行、つまり貸す側からしたら早く返してくれた方がうれしい気がしますが。

それにはちゃんとした理由があります。当然、銀行側が得をし、借りている我々は損する理由です。

たとえば、3,000万円を借り入れ、年利2%、35年ローンを組んだとします。
その場合、毎月の返済額は10万円、総返済額は4,174万円になります
これはつまり、その差額の1,174万円がそっくりそのまま銀行の収入となるわけです。

年利2%、この数字が1,174万円もの破格とも言える支払利息を生み出しているというわけです。銀行からしたらものすごく儲かることになります。マイホームローンを銀行が必死になって獲得しようとする理由も納得できますね。
長く借りてもらえばもらうほど金利収入を得ることができるわけですから、途中で繰り上げ返済されてしまうと、大きな収益機会を逃すことになり、銀行からしたら長期的に見れば損になってしまいます。
そこで銀行は、繰り上げ返済や短期間で完済する場合には、手数料を取って減少する収益を少しでも回収しようとするわけです。

ただ、手数料がかかったとしても、投資用マンションローンの場合は、繰り上げ返済を目指した方が断然良いです。それも早ければ早いほど。
というのも、ローンの借り入れ直後、銀行はまず利息分の回収からはじめます。毎月の返済額のうち約4割が元本返済にあてられ、約6割が利息の支払いといった具合です。この割合は、返済が進むにつれて逆転していき、完済間近になると、毎月の返済額のほとんどが元本の返済にあてられます。これはつまり、利息を生じさせる金額が大きい期間が長く続くということで、利息の支払い額がとんでもなく多くなるというわけです。繰り上げ返済して元本を減らせば、利息が減り、キャッシュフローが良くなります。
また、今は「超」がつくほどの低金利(というよりマイナス金利)です。しばらくは続きそうですが、長い目でみると上がっていくと考えられます。ほとんどの場合、変動金利でローンを組むことになるため、金利上昇とともに利息が増えることになります。
つまり、繰り上げ返済の効果を最大限に引き出すためには、早ければ早い方が良いということです。

繰り上げ返済する場合には手数料が発生する旨については、銀行からローンを組む際に説明を受け取ることになると思います。ただ何故手数料を取るかなどの説明は向こうからは当然ありません。

私の場合、ローン審査のため、面談を行い、その直後にそういった説明を受けました。いろいろな説明を受け、疲れてしまうかもしれませんが、大事なことなので、聞き流さず、疑問があったらこちらから質問するようにしましょう。

かの有名なアインシュタインは「複利は人類最大の発明」だと言ったそうです。複利の恩恵を受けるのは貸す側であり、我々、借りる側(ローンを組む側)にとっては、複利は人類最悪の発明と言えるでしょう。前回の記事で「複利を活用して資産を劇的に増やす」と書きましたが、最も得しているのは銀行や仲介業者ということです。

ローン返済期間をだらだら伸ばせば伸ばすほど、返済する合計額は複利効果でどんどん増えていきます。だからといって生活レベルを崩してまで無理して返済を早める必要はないですが、無駄を減らすなどし、返済にまわせる金額を増やしていくのが望ましいです。