マンション管理は2つある?【知らないと損する建物管理と賃貸管理の違い】

「マンション管理」と一口に言っても、実は2種類あります。初心者オーナーが混同しやすい点でもあり、筆者自身も区分マンション投資を始めるまで意識したことがありませんでした。

「管理はお任せ」で済む時代はとっくに終わっています。自身の資産を守るためには、マンション管理の仕組みをオーナー自らが正しく理解しておくことが不可欠です。

本記事では、2種類の管理の違い・費用負担・オーナーとの関係を整理し、区分マンション投資における「管理リテラシー」の基本を考えていきます。

マンション管理の「2つ」とは何か

マンション管理には以下の2種類があります。

・建物管理
・賃貸管理

建物管理

建物管理とは、マンション全体の維持・運営を行うことです。

区分所有者は管理組合を通じて、修繕積立金とともに管理費を毎月支払っています。
補足:管理会社が管理組合の会計業務も受託している場合、管理会社指定の口座に直接振り込む形をとることは珍しくありません。この場合、見た目上は「管理会社へ直接支払っている」ように見えますが、あくまで管理組合の代理として管理会社が収納代行しているという位置づけです。

この管理費は、主に以下のような用途に充てられます。

・共用部の電気代・水道代
・会計業務(出納・帳簿管理)
・エレベーター保守
・清掃員の費用
・建物巡回・点検
・管理組合の運営費(総会・理事会など)

管理組合とは、分譲マンションの区分所有者全員で構成される団体です。マンションの維持管理に関する意思決定を担う主体ではありますが、実務を組合員自身が行うわけではありません。日常的な管理業務は、専門の管理会社に委託するのが一般的です。

つまり、管理組合と管理会社の関係は「発注者と受託者」と捉えるとわかりやすいでしょう。

賃貸管理

賃貸管理とは、その名のとおり賃貸物件を管理することであり、具体的には家賃の集金・入居者募集・滞納督促などの業務を指します。

管理方法は大きく以下の3種類に分かれます。

・管理委託
・サブリース
・自主管理

本業を持つサラリーマンオーナーにとって、自主管理への切り替えは物理的に難しく、管理不全に陥るリスクも高いため、現実的な選択肢は「管理委託」か「サブリース」のどちらかになります。

両者に共通して委託できる主な業務は以下のとおりです。

・入居者募集、賃貸借契約
・家賃の集金・送金
・入居中のクレーム・トラブル対応
・退去時の立会い・原状回復管理

管理委託とサブリースの最大の違いは、「集金代行か家賃保証か」という点です。

管理委託は家賃の集金を代行するものに過ぎないため、空室期間中は当然、家賃収入がゼロになります。一方のサブリースは、空室が発生しても管理会社から一定の家賃が保証されます。ただし、満額が受け取れるわけではなく、相場より低い金額での保証となるうえ、更新料も管理会社に入る仕組みになっている点には注意が必要です。

2つの管理会社が「別会社」である場合の注意点

建物管理と賃貸管理を同じ会社に一本化できれば、オーナーとしては手間が省けて都合がいいのですが、現実には両者が別会社というケースは珍しくありません。

むしろ、投資用ワンルーム業界ではそれが一般的な構造といえます。筆者が所有する物件も、典型的な「ワンルーム投資の構造」で、業者が分離されている理由も明確に説明できます。

なぜ建物管理会社と賃貸管理会社が別になるのか

その理由を理解するには、投資用ワンルーム業界でよく見られる以下の2つの構図を押さえておく必要があります。

・買取再販業者がそのまま賃貸管理も受託する構図
・販売会社が自社グループで役割を分割する構図

建物管理会社は区分所有者では決められない

2つの構図を説明する前に、重要な前提を整理しておきます。

建物管理会社は、区分所有者個人が決めるものではありません。管理組合が総会の決議によって選定するものであり、一人のオーナーが単独で変更することはできない仕組みになっています。

一方、賃貸管理会社はオーナー個人が自由に選んで契約できます。 入居者募集も賃貸管理の業務に含まれますが、退去後になかなか次の入居者が決まらない場合、賃貸管理会社を変えたところあっさり決まったという事例も少なくないようです。

管理会社の対応力や営業力によって、空室期間に大きな差が生じることは十分にあり得ます。

買取再販業者がそのまま賃貸管理も受託する構図

投資用ワンルーム業界には「買取再販業者」が数多く存在します。買取再販業者とは、中古マンション(主にワンルーム)を仕入れ、必要に応じてリフォームやクリーニングを施したうえで投資家に再販売する不動産会社のことです。新築販売と並ぶ業界の主流ビジネスモデルの一つとなっています。

この買取再販業者が、物件の販売後もそのまま賃貸管理を引き受けるというのが、ここで取り上げる構図です。

なぜ買取再販業者が賃貸管理まで手がけるのか。理由はシンプルで、販売後も継続的な収益源を確保したいからです。

・物件販売 → 一度きりの大きな利益
・賃貸管理 → 長期にわたるストック収益

この2本柱で収益を最大化しようとするのは、ビジネスとして合理的な判断といえます。そのため、販売したオーナーをそのまま自社の賃貸管理へ誘導するのは、業界では一般的な慣行となっています。

販売会社が自社グループで役割を分割する構図

ワンルームの販売会社は、業務を以下のように分割して運営するケースが多く見られます。

・建物管理会社 → 建物管理・管理組合対応・清掃・点検など
・賃貸管理会社 → 家賃集金・送金・滞納督促・サブリース窓口など

これは「建物管理」と「賃貸管理(集金)」を別のビジネスとして切り分けるという考え方に基づいており、建物管理・賃貸管理・サブリース・仲介などをそれぞれ別会社で運営することで、グループ全体の収益を最大化しようとする構図です。

1つの物件から複数の収益ポイントを生み出せるうえ、トラブル発生時には責任の所在を各社に分散できるため、販売会社本体のリスクを抑えることができます。

オーナー目線で言えば、何か問題が起きたときに「それはA社の管轄ではなくB社の管轄です」といったたらい回しが起きやすい構造でもあります。仕組みとして責任が分散されているからこそ、オーナー側が各社の役割と責任範囲をあらかじめ把握しておくことが重要です。

不動産業者が管理委託契約を増やしたい理由

賃貸管理の管理委託料の相場は、賃料の3~5%程度とされています。家賃10万円で5%であれば、月々5,000円です。

この金額だけ見ると「大した収益ではない」と感じるかもしれません。しかし不動産業者にとって、管理委託料は経営上の重要な収益源として位置づけられています。

なぜそう言えるのか。賃貸物件に住んでいる方で、管理会社に年に何度問い合わせるでしょうか。筆者の場合、入居以来一度も連絡したことがありません。毎月、口座から家賃が自動引き落とされるだけです。

つまり、管理会社の立場から見れば、この5,000円はほぼ手間のかからない安定収入に近いのです。管理物件が増えるほど固定収入が積み上がり、経営が安定します。

不動産業者には繁忙期と閑散期があり、進学・就職の引っ越しが集中する1~3月は活況を呈する一方、4~8月は極端に契約が減ります。それでも多くの不動産会社が経営を維持できるのは、管理委託料というストック収益があるからです。

管理物件はひとつでも多い方が経営にとってプラスであり、オーナーから管理会社の変更を申し出られることは、業者にとって避けたい事態なのです。

まとめ

本記事では、建物管理と賃貸管理という2種類の管理の違い、費用負担、オーナーとの関係を整理してきました。

「マンション管理」とひとくちに言っても、その実態は多岐にわたります。オーナーとして資産を守るためには、それぞれの管理業務の内容と責任の所在を正しく把握しておくことが不可欠です。

注意したいのは、管理委託料以外にも費用が発生するケースがあるという点です。たとえば、振込手数料として毎月1,000円近い金額を別途請求している管理会社も存在します。また、35年一括借り上げのサブリース契約を結んだ結果、オーナーであるにもかかわらず管理会社の言いなりになってしまっているケースも少なくありません。

知識がないことにつけ込まれないためにも、最低限の知識を身につけ、「これはおかしい」と気づける判断力を持っておくことが重要です。それがオーナーとして自分の資産を守る、最初の一歩になるはずです。