生命保険といえば、社会人になったら何となく入るのが通例でした。しかし最近、若者の生命保険離れが深刻化しているそうです。いったい何が起きているのか、その背景を探るべき、ネットの声を集めてみました。
生命保険とは
そもそも生命保険とは何でしょうか。今更のことですが、今一度「生命保険」とは何なのか考えてみましょう。
生命保険とは大勢の人で公平に保険料を負担し合い、その中からもしもの時に、保険金や給付金を支払うことを約束したものです。みんなでお金を出し合って、困っている人がいたらそのお金で助け合いましょうというのが本質であり、裏を返せばほとんどの人が損するだけで終わってしまうものと言えます。ただそれでも、自分に万が一のことがあったとき、生活と家族のために備えるものであり、とても大事なものです
ここで「生命保険」とひとくちに言っても、保険金等がどのように支払われるかによって、「死亡保険」「生存保険」「生死混合保険」「それ以外の保険」の4つに分類することができます。
死亡保険
言葉のとおり、保険の対象者(被保険者)が死亡、もしくは高度障害になったときに保険金が支払われる保険です。主に「定期保険」と「終身保険」に分けられます。定期保険は掛け捨て、つまり、保険期間が過ぎても生存していた場合は、掛けた保険金は戻ってこない保険です。一方、終身保険は、保険期間が一生涯となります。そのため、掛けた保険金は必ず誰かに(残された家族に)支払われます。
生存保険
生存保険は、被保険者が保険期間満了後に生存していた場合に保険金等が支払われる保険です。学資保険や個人年金保険が該当します。
生死混合保険
生死混合保険は、死亡保険と生存保険が組合わさった保険です。被保険者が死亡もしくは高度障害になったとき死亡保険金が支払われ、保険期間満了後も生存していた場合は、生存保険金(満期保険金)が支払われます。養老保険などが該当します。
それ以外の保険
上記3つ以外の保険が該当します。例えば、入院、手術に備える医療保険やがん保険、病気やけがによって働けなくなったときに備えた就業不能保険などがあります。
なぜ生命保険に加入しないのか
では、何故若者は生命保険に加入しないのか、ネットの声を集めてみました。
- コロナ禍で生活費が苦しい
- 相続する妻子がいない
- 自分がもらえないから
- 生命保険料控除も微々たるものでメリットを感じない
- iDecoやNISAにまわしている
- 保険=押し売りのイメージが強く怪しいと感じる
- 高額治療も国民健康保険でまかなえるから
- 統計から言えば40代から入っておく方が得
生命保険と言ってもいろいろなタイプのものがありますが、ネットの声を集めていて、生命保険=死亡保険と捉えている人も多いように感じました。
しかしそうは言っても、もっともな意見が並びます。まず第一に、未婚率が上がっている中、生命保険加入者も減っているのが要因として挙げられるでしょう。独身なら自分に万が一のことがあっても守るものがありません。高度障害になったとしても、国民健康保険の高額療養費制度により公的な補助も受けられますし、大手企業に勤めているなら付加給付制度もあります。未婚なら死亡保険は必要ないでしょう。
がん保険についても、がん家系なら入っておいた方が良いと言えますが、そうでないなら、もしものときのために自分で貯金して備えておくという選択肢も十分ありえます。
生命保険料控除にメリットを感じないというのも最もな意見です。年収で少しは変わりますが、本当に微々たるもので、それならその分、投資にまわした方が良いというのが賢い考え方なんだと思います。実際、iDecoや積立NISAなどで積み立てていた人は、よほど変な商品を選んでない限り、早く始めた人ほど、結構なプラスになっていると思います。
一方、過度な保険は必要ないけど、入っておいた方が良いという意見も少しありました、
- お金がないからこそ、医療保険には入った方が良い
- 葬儀代や遺品片付け代は自分で払えるようにしておきたい
生命保険離れの理由
ネットの声を見ても、少子化が生命保険離れの要因となっているのは明らかです。また、万が一への備え方の考え方も変わって来ているようです。
「社会人にもなって生命保険のひとつも入ってないかとやばいだろ」と、ほんの少し前まではそんなことを言う、先輩方が多かったのですが、今はもう、そういう考えは古いのかもしれません。貯めたお金で自分で投資して自分で増やす。それが今の若者の考えと言えそうです。
かくゆう私も、死亡保険や医療保険など、掛け捨て保険はすべて解約しています。これは不動産投資で団体信用生命保険に入ったからというのもありますが、独身の身でありながら、いったい何のためにこんなに備えていたんだと、保険を見直したときに気がついたからです。気がつくのが遅すぎたととても後悔してます。
保険に限らず、みんなで支え合う制度、仕組みというのは破綻の一途を辿っているのは明白です。若者の生命保険離れは言ってみれば必然なのかもしれません。
最後に少し余談ですが、少し以前は、職場で、いわゆる生保レディが営業によく来てて、その人と仲良くなって、合コンをセッティングしてくれるなどの交流があったのですが、最近はそういうのも減って来ているように思います。これも少子化のひとつの要因となっているのであれば、少子化への悪循環がもう止められないところまでに形成されているように感じます。