東京の移動手段は電車が基本で、日中は大勢の人が都心部に集まってきます。そのため、通勤時間や帰宅時間になると地方では考えられないほど電車が混雑します。
特に朝の通勤ラッシュ時の混雑率は異常です。国土交通省の2018年度のデータでは、東京圏での平均混雑率は163%、ワースト1は東京メトロ東西線の木場→門前仲町区間で、199%。ほぼ200%です。この路線上には、近年ますます都市開発が進み、人口が増加している駅が多数あります。
混雑率の目安として、200%は体がふれあい相当圧迫感がある状態です。これは1時間あたりの平均なので、瞬間的にはもっと混雑しているでしょう。ちなみに混雑率100%は、電車の全ての席に人が座っていて立っている人がいない状態です。立っている人が多いほど100%を超えていくというわけです。
ただ、これでも一昔前と比べて、かなり改善されています。以前は、山手線や京浜東北線などは混雑率が200%を超えていました。東京都も長期的な視点で鉄道を中心とした交通網発展への取り組みを行っていくとしており、交通インフラの充実・強化は今後もますます促進していくようです。
海外からは「世界一複雑な東京の鉄道網」と言われていますが、今後の東京の交通事情はどうなっていくのでしょうか。今回はその点について少しだけ考えていきます。
アベノミクスによる東京の再開発
アベノミクスの第3の矢「成長戦略」としてかかげられた「国際戦略総合特区」というものがあります。
国際戦略総合特区とは、将来性豊かな産業(IoTやビックデータ、AI等)や外資企業の集積によって日本全体の成長を牽引するような国際的な拠点づくりを目指すため、地域限定の規制緩和がされたエリアです。
特区に認定されたエリアは大幅な規制緩和が行われたことで、民間の再開発も促進されました。
政策により、地方だけでなく、世界から東京へ、人、モノ、お金、情報を呼び込んでいたわけです。実際、都心部で外国人を見かける場面が一昔前と比べて、増えていると感じたことはないでしょうか。
そういったものが東京に集まるということは、それに応じて社会インフラが整備され、ますます人も仕事も集まってくるというわけです。
リニア中央新幹線の開通
2027年にリニア中央新幹線が開通する予定です。これにより、品川-名古屋間を40分で行き来できるようになるそうです。
信じられない程、移動時間が短縮されますね。さらにその18年後の2045年には大阪まで伸び、品川-大阪間を67分で行き来できるようになるとのことです。
これほど巨大な交通網が整備されている都市は、世界を見ても東京ぐらいです。そして、東京を中心に交通網が発達することで、地方から東京へますます人が集まってくるのです。
505km/hの高速走行が可能な超電導磁気浮上式リニアモーターカー「超電導リニア」。1970年の大阪万国博覧会を機に広く知られるようになった「夢の乗りもの」です。ついにその開通日が近づいています。わたしも子供の頃からの憧れだったので楽しみで仕方ありません。
経済効果も桁が違って、品川から名古屋間のリニア中央新幹線の開業によって期待される経済効果は、約10兆7,000億円、新大阪まで延伸した場合は約16兆8,000億円との推計が出ています。
ただ、静岡県が大井川の流量減少への懸念を理由としてトンネル着工反対しており、2027年開業への雲行きが怪しくなってきています。電気自動車で世界に遅れを取っている日本ですが、鉄道でも遅れをとるわけにはいきません。この問題は早急に解決に向かってほしいです。
まとめ
企業や大学の都心回帰の動きが高まっていますが、交通網の視点から見ても、都市内や都市間をつなぐインフラ整備はますます進んでおり、人口減少社会を見据えた、集約型地域構造の実現に向かっているように思えます。
私が勤めている会社は東京が本社で大阪、名古屋に支店がありますが、やはりたくさん仕事があるのは東京です。給与水準も地方に比べて遥かに高く、地方との経済格差は顕著に見えます。若い人はみんな東京に行きたいって言うんですよね。特に、自身の成長志向が高い人ほど、東京志向が高いようです。投資の向き先も、その方向に合わせないといけませんね。