不動産投資ローン金利が急上昇【未払い利息リスクが現実的に】

住宅ローンや不動産投資ローンでは、元利均等返済が一般的です。

  • 毎月の返済額は一定
  • その中で「利息 → 元金」の順に優先して支払われる

金利が上昇すると、元金に充てられる金額が減り、返済額に占める利息の割合が増えるというのは周知の事実です。

では、もし返済額のほぼすべてが利息で埋まってしまった場合はどうなるのでしょうか。

その結果として発生するのが、「未払い利息」です。

超低金利が長年続いて日本において、不動産投資ローンを組んだ当初は、このようなリスクが顕在化するとは正直考えていませんでした。しかし今、そのリスクが現実味を帯びて急速に迫りつつあります。

本記事では、この「未払い利息」について詳しく解説していきます。

未払い利息とは

未払い利息とは、すでに発生した利息のうち、まだ支払っていない利息のことです。

急激な金利上昇が起きた時に、毎月支払うべき利息の金額が返済額よりも多くなってしまうケースが出てきます。その不足した利息分が「未払い利息」です。

本来、不動産投資における「未払い利息のリスク」というのは、毎月のキャッシュフローが悪化することで、手元資金が減っていき、返済が苦しくなる、そして支払い遅延が発生する。

この流れで生じるリスクです。

キャッシュフロー悪化の要因となるのが、「金利上昇」であり、金利上昇はあくまで、「未払い利息が増えるリスク」を間接的に高める要因のひとつに過ぎません。

なぜなら、通常のローンでは、返済額より利息が多くなると返済額の見直し(増額)が行われ、

毎月返済額 >= 利息額

になるように調整されているため、未払い利息は発生しないからです。

5年ルールと125%ルールが未払い利息リスクを高めている

金利が上昇したタイミングで毎月の返済額が増えていれば、毎月支払うべき利息の金額が返済額よりも多くなってしまうことはありません。

しかし、住宅ローンや不動産投資ローンには、「5年ルール」と「125%ルール」が存在します。この2つのルールが「返済額そのものが利息だけで埋まってしまい、元金が全く減らない状態」を生み出してしまいます。

変動金利ローンの返済額は、金利が変わってもすぐには変わらず、次のルールで調整されます。

■ 5年ルール
返済額の見直しは 5年に1回 しか行われない。

■ 125%ルール
返済額は、見直し後も 前回返済額の125%までしか増やせない。

これらのルールは、急に返済負担が増えてしまうことで、生活に支障をきたさないようにするためのものであるというのはご存知のとおりです。

では、なぜこれが未払い利息リスクを高めてしまうのでしょうか。

理由①:金利が上がっても返済額がすぐに増えない
理由②:返済額の上限(125%)があるため、利息に追いつかない

金利が上昇しても、5年ルールにより返済額は据え置かれます。その間は、利息額だけが増え、元金部分が圧迫されている状態になります。

そして、5年後に返済額を見直されても、返済額の増加は最大25%までと制限されます。

このとき、金利が大きく上がっていると、

利息額 > 新しい返済額

という状態が起き、未払い利息が発生するということです。

利息が返済額の大半を占めると、元金がほとんど減りません。元金が減らないと、かかる利息も減らないため、トータルの利息がさらに増えてしまいます。

未払い利息が発生する金利の計算

未払い利息が発生する金利は、次の式で簡単に求められます。

毎月の返済額 ÷ 現在のローン残高 × 12ヵ月 × 100

例えば、毎月の返済額が7万円、現在のローン残高が2000万円だとすると以下になります。

7万円 ÷ 2000万円 × 12ヵ月 × 100 = 4.2%

4.2%という水準は、すでに目前に迫っている領域です。

自分のローンが危険ゾーンに入っているのかどうかを把握するためにも、現状を定期的にチェックすることが非常に重要だと言えるでしょう。

未払い利息のリスクを軽減するには

5年ルール・125%ルールは、金利上昇局面において未払い利息の発生リスクを確実に高めます。

返済額の見直しが遅れ、かつ調整幅も限定的であることは、一見すると借り手に有利な仕組みのように見えます。しかし実際には、返済総額に占める利息が増えやすくなるため、金融機関にとってもメリットが大きいという点を理解しておく必要があります。

金利そのものは借り手側でコントロールできないため、未払い利息の発生を防ぐには、元金を減らす以外に実質的な対策はありません。

その手段も限られており、現実的に選択できるのは繰上げ返済です。

2026年2月現在は借入金利が3%を超えるケースも見られ(私の場合は3.3%)、インデックス投資などの堅実な投資利回りの方が依然として高い状況ではあります。しかし、元金が多い期間は毎月の利息負担も大きくなるため、金利上昇が続くと見込まれる現状では、資金に余裕がある場合、早めに繰上げ返済を進めることが安全策と言えるのではないでしょうか。

繰上げ返済手数料の値上げリスク

金利市場が上昇傾向にある現在、繰上げ返済を選ぶ人は少なくありません。

しかし金融機関にとっては、繰上げ返済が進むと将来受け取れる利息が減ってしまうため、必ずしも歓迎できる状況ではありません。

そこで金融機関が取りうる手段として浮上するのが、繰上げ返済手数料の値上げです。

実際にこうした動きはすでに始まっており、いつ手数料の改定通知が届いてもおかしくない状況になっているようです。

まとめ

未払い利息とは、その月に発生した利息のうち、毎月の返済額では支払いきれずに残った部分を指します。

現時点では、返済額より利息が上回る状況はまだ一般的ではないと考えられます。しかし、返済額に占める利息の割合が急速に増えていることは確かで、状況は着実に変化しつつあります。

住宅ローンが各種優遇措置で守られているのとは対照的に、不動産投資ローンは金利上昇の影響をダイレクトに受けるため、負担増が避けられません。

未払い利息が発生するリスクがどこまで高まっているのかを把握するためにも、金利市場の動向を継続的にチェックする重要性はこれまで以上に高まっていると言えるでしょう。