マンション管理と修繕積立金【管理不全による資産価値低下を防ぐには】

区分マンション投資は「ほったらかし投資」と呼ばれることがあります。

確かに、ほったらかしで稼げるなら誰でも飛び込みたいところです。しかし、そんな都合のいい話は現実には存在しません。仮にあるとすれば、それは極めて限定的なケースであり、必ずリスクと時間というコストが伴います。

「ほったらかしで儲かる」と謳われているものの大半は、仕組みを十分に理解していない人を対象にしたビジネスモデルか、実態を誇張した宣伝文句です。

区分マンション投資も例外ではありません。「放置しているだけで家賃収入が入る」は幻想であり、真剣に投資として向き合うならば、自身が所有するマンションの管理状況をしっかりと把握しておく必要があります。

そして、管理が機能していないと感じたら、傷口が浅いうちに次の手を打つことが肝心です。

本記事では、マンション管理はどのように行われているのか、その基本から整理していきます。

管理組合とは

マンションの管理組合とは、分譲マンションの区分所有者全員で構成される団体のことです。法律(区分所有法)に基づいて自動的に設立され、主に以下のような役割を担っています。

・共用部分の維持管理(エレベーター、廊下、外壁などの清掃や修繕)
・会計業務(管理費や修繕積立金の徴収・支出管理)
・管理規約の制定・改正
・総会の開催(重要事項の決定や報告)
・住民間のトラブル対応

管理組合には、理事や理事長などの役員が選出され、日常の運営は「理事会」が担います。一方で、マンション全体の意思決定は「総会」で行われます。

つまり、管理組合はマンションの快適な住環境や資産価値を守るために、住民同士が協力して運営していくための仕組みです。

分譲マンションと投資用マンションの管理組合

分譲マンションと投資用マンションでは管理組合のあり方が全くと言っていいほど異なります。

投資用マンションは言い換えれば、賃貸マンションです。

賃貸マンションが「借りる」のに対し、分譲マンションは「購入して所有する」点が最大の違いであり、マンションに対する関わり方や意識に雲泥の差が生じます。

たとえば、以下の項目でそれぞれの関心度をまとめてみます。

項目自宅用分譲マンション投資用マンション
所有者の関与度高い(自分が住んでいるため)低くなりがち(賃貸に出しているため)
管理組合活動への参加積極的(総会出席・理事就任など)消極的な傾向(委任状提出のみなど)
関心の対象住環境の快適さ資産価値・収益性の維持
リスク生活の質に直結管理不全による資産価値の低下

最近は、分譲マンションを購入する際に、住みやすさ以外にも将来の資産価値を重視する傾向が強まってこそはいますが、自身が住むとなったとき、会社までの距離であったり、学区、病院の有無、治安など生活する上でのポイントを最優先とするのが通常でしょう。

投資用マンションも住む人のことを意識して上記のようなことを考えるわけですが、それは物件選びのときであり、自身がそこで暮らしているわけではないので、愛着も湧きませんし、そもそもほとんどのオーナーは部屋の中も見たこともないでしょう。

投資用だからといって無関心でいると、以下のようなリスクがあります。

・修繕計画の遅れで建物の劣化が進む
・管理費や修繕積立金の使途が不透明になる
・トラブル対応が後手に回る

そのため、資産を守るためにも、投資用マンションのオーナーも管理組合に関心を持つことが大切です。

管理組合と管理会社の関係

管理組合はそのマンションの住民によって構成されるわけですが、マンション管理の実務を組合員である住民が行うわけではありません。

共用部分の維持管理や修繕など、マンション運営にはやることはたくさんあるわけですが、それらを住民が分担して行うというようなことは困難でしょう。

そのため、そうしたマンション管理業務は管理会社に委託することになります。

つまり、管理組合と管理会社の関係は、「発注者と受託者」の関係と言えます。

実際の運営は、選ばれた理事たちによる管理組合の「理事会」が中心となり、管理会社にマンション管理業務を委託するわけです。

管理会社は、実務を行う専門業者であり、清掃、設備点検、会計処理、管理人の手配など管理のプロとして、組合の運営をサポートする立場にあります。

意思決定を行うのが管理組合(理事会)であり、決定された内容を実行するのが管理会社です。

管理組合と管理会社の衝突

管理組合と管理会社の間でトラブルが起きるケースが近年目立ってきています。

当然ですが、管理費というのは、無尽蔵に湧いてくるわけではありません。ここ近年の物価高により、管理費が値上げされることが多く、納得できる部分もあれば、管理費の使い方に対する不信感も出てくるのはある意味自然なことです。

管理会社が提示する費用の内訳が不透明だったり、値下げ交渉に対してサービスの質を下げる形で応じたりと、もめ事はでてきます。

さらに、修繕積立金も毎月支払っているわけですが、設備の不具合や住民からの苦情に対して、管理会社の対応が遅かったり、誠意が感じられないと、組合側が不満を募らせることもあります。

投資用マンションはさらに過酷

住民が実際に暮らしている分譲マンションでも管理組合と管理会社の間でもめているケースが増えているということは、投資用マンションの場合はいったいどうなっているのでしょうか。

管理会社に任せきりにすると、不透明な費用や不適切な管理が起こることがあるというのは言うまでもありません。しかし、実際にそのマンションに暮らしていない投資用マンションのオーナーは、マンションの状況についてそれほど関心を持っていないというのは事実としてあります。

特に、オーナーの居住地以外の物件であった場合、現地に見に行くこともなかなかできないので、「よろしくやっといて」といった他力本願になりがちです。

私も人のことは言えず、その類に入ります。昼間は仕事がありますし、休日も何かとやることがあります。

投資用マンションでも、管理組合は存在し、運営の主体は区分所有者(つまりオーナー)たちなるわけですが、理事会メンバーが誰なのかまったく知りません。

誰も参加しない通常総会

年1回開催される通常総会への参加人数が「0」というケースも、決して珍しくありません。

総会は、マンションの重要事項を決議する場であり、区分所有者(オーナー)全員が参加できます。主な議題は以下のとおりです。

・管理費・修繕積立金の額
・大規模修繕の実施
・管理会社の変更
・管理規約の変更
・役員(理事・監事)の選任
・予算・決算の承認

これらを総会で決議したうえで、選任された理事・監事による理事会が実務を担う、というのが基本的な運営の流れです。

総会の開催前には、議案書と議決権行使書がオーナーに郵送されます。総会に出席できなくても議決権行使書で意思表示することは可能ですが、それすら返送しないオーナーが多いというのが実態です。

まとめ

本記事では、マンション管理の基本として、管理組合と管理会社の関係や管理体制の実態について整理してきました。

近年、管理不全によって資産価値が低下するマンションが増えています。特に築古マンションでは、採算が合わないとして管理会社が撤退するケースも出始めているといいます。年数を経た建物は、外観からは見えない配管や床下に深刻なダメージが蓄積していることも多く、修繕費が想定を大きく上回るケースも珍しくありません。

だからといって、管理会社の言いなりに修繕積立金を引き上げ続けていては、投資として成立しなくなります。

オーナーとして資産を守るためには、管理の実態に無関心でいることが最大のリスクです。マンション管理への理解を深め、能動的に関わっていく姿勢が、長期的な資産価値の維持につながるのではないでしょうか。